国連キプロス平和維持軍に英国が、国連レバノン暫定軍にフランスが要員を派遣するなどの例はあったが、このUNIKOMにはP5がこぞって参加するという前例のない事態となった。これには、P5が結束して湾岸危機の再発を防ぎ、イラクに対して国際社会の意思を鮮明にする、という政治的な意図もあった。しかし、伝統的なPKOのルールの一部がこれによって崩れ、新たな経験則に道を開いたことも否定できない事実だ。このように、PKOの性格は可塑的なもので、次々に現実に対応して変化することを前提としている。UNIKOMに見られた変化が、決して例外的なものではなく、むしろ「冷戦後」を迎えた新時代の国連の先触れであったことは、その後、ガリ事務総長が提案した画期的な報告書で明らかになった。
九二年一月三十一日、ニューヨークの国連本部で、極めて注目すべき会議が開かれた。史上初めてという安保理の首脳会議である。 出席したのは米国のブッシュ、ロシア、エリツイン、フランスのミッテラン各大統領、英国のメージャー、中国の李鵬各首相の他、非常任理事国からは日本の宮沢首相も出席した。ちょうどその前月のクリスマス・イブに、国連における旧ソ連の地位は、ロシアに引き継がれることが決まっていた。首脳会議は英国が呼びかけたもので、旧ソ連の崩壊という大きな変化に直面した国連が、冷戦後の新時代にどのような役割を果たすかについて話したのが狙いだった。また、この月に就任した新事務総長のガリ氏を、理事国の首脳が一致して支援することを明確にし、国連の機能強化を働きかける目的もあった。
2015年7月7日火曜日
2015年6月6日土曜日
希望のない窮乏期間の長期化
今後5年間という短期間で状況が劇的に変化し、非正社員の活動が先鋭化する可能性もある、と筆者は予測している。その最大の根拠は、非正社員のフラストレーションが解消されないまま、怒りや絶望へと転嫁する可能性があるからだ。特に、正社員として働きたいにもかかわらず、非正社員を余儀なくされている人の自暴自棄はピークに達する。その根拠をいくつかあげてみよう。第一に、金融危機の影響の大きさである。金融危機による世界同時不況の影響が深ければ、日本経済の復活には長期間を要するようになる。また、仮に不況を脱したとしても、バブル崩壊後の「陽炎景気」と同様に、非正社員にまで景気回復の恩恵が届くまでには相当の時間を要する。希望のない窮乏期間が長期化すれば、暴発するリスクは高まるだろう。
第二に、金融危機による不況が長引けば、フリーターにしてもニードにしても、希望がないまま高齢化していくことになる。非正社員の高齢化は以前から指摘されていることだが、出口のない不況は「このまま歳をとり続けたら」という彼らの焦りを一層強いものにする。おそらく、非正社員の多くは金融危機の今、「時間の重さ」というものをかつてないほどに感じているのではないだろうか。この感覚が様々な暴発につながる恐れは大きい。
第三に、「チエーゲバラ」や「蟹工船」が流行り、共産党員が増えるなど、かつてないほどに反体制ムードが高まりつつあることである。もちろん、フリーターや派遣労働者の多くが「俺たちは反体制だ!」と明言しているわけではない。むしろ、正社員のような生き方を「会社に縛られたせこい生き方」だと批判し、「俺もいつかは金持ちの起業家」と思っているようなバリバリの資本主義者の方が多数派かもしれない。また、彼らの多くがどこまでチエーゲバラや蟹工船、また共産党のコンセプトを理解しているのかはわからない。しかし、いつの時代もそうだが、明確な意味やコンセプトなど理解しないままに、人々を惹きつけるムードこそ時代を形作るものだ。
その意味では、今徐々に広がりつつある「反体制ムード」が今後5年以内に大きくなる可能性は十分ある。第四に、小泉内閣による構造改革以来の社会風潮だと筆者は思っているのだが、日本社会全体に破壊願望のようなものがあることだ。特に、非正社員などの虐げられた立場にいる人々の破壊願望が強くなっている。例えば、厚労省の元事務次官夫妻などが刺殺された際の世間の反応から、そんなことが読み取れる。公共の電波を扱っているテレビのニュースキャスターが、人が殺されるという重大性よりも年金不祥事との関連に最後まで固執したことは当然としても、世間全体の反応は恐ろしいくらいに冷たかった。この殺伐とした空気に違和感を覚えるのは、筆者だけだろうか。
第五に、非正社員という「階級」としての意識が強くなることである。不況が長引き、フリーターや派遣労働者が高齢化すれば、そこから這い上がる可能性がますます低下する結果、大多数の非正社員は固定化する恐れが強くなる。つまり、階級を変わることができないということだ。それに加えて、仮に彼らの多くが身分や収入の不安定さから、結婚し家庭生活を築けないとなれば、露骨な話だが「自分の子供に逆転を託す」といった希望も持てなくなる。戦後の日本では階級間移動が活発だったことを考えれば、「階級固定化」「一代プア」がもたらす閉塞感・絶望感・虚無感は想像を絶する。
第二に、金融危機による不況が長引けば、フリーターにしてもニードにしても、希望がないまま高齢化していくことになる。非正社員の高齢化は以前から指摘されていることだが、出口のない不況は「このまま歳をとり続けたら」という彼らの焦りを一層強いものにする。おそらく、非正社員の多くは金融危機の今、「時間の重さ」というものをかつてないほどに感じているのではないだろうか。この感覚が様々な暴発につながる恐れは大きい。
第三に、「チエーゲバラ」や「蟹工船」が流行り、共産党員が増えるなど、かつてないほどに反体制ムードが高まりつつあることである。もちろん、フリーターや派遣労働者の多くが「俺たちは反体制だ!」と明言しているわけではない。むしろ、正社員のような生き方を「会社に縛られたせこい生き方」だと批判し、「俺もいつかは金持ちの起業家」と思っているようなバリバリの資本主義者の方が多数派かもしれない。また、彼らの多くがどこまでチエーゲバラや蟹工船、また共産党のコンセプトを理解しているのかはわからない。しかし、いつの時代もそうだが、明確な意味やコンセプトなど理解しないままに、人々を惹きつけるムードこそ時代を形作るものだ。
その意味では、今徐々に広がりつつある「反体制ムード」が今後5年以内に大きくなる可能性は十分ある。第四に、小泉内閣による構造改革以来の社会風潮だと筆者は思っているのだが、日本社会全体に破壊願望のようなものがあることだ。特に、非正社員などの虐げられた立場にいる人々の破壊願望が強くなっている。例えば、厚労省の元事務次官夫妻などが刺殺された際の世間の反応から、そんなことが読み取れる。公共の電波を扱っているテレビのニュースキャスターが、人が殺されるという重大性よりも年金不祥事との関連に最後まで固執したことは当然としても、世間全体の反応は恐ろしいくらいに冷たかった。この殺伐とした空気に違和感を覚えるのは、筆者だけだろうか。
第五に、非正社員という「階級」としての意識が強くなることである。不況が長引き、フリーターや派遣労働者が高齢化すれば、そこから這い上がる可能性がますます低下する結果、大多数の非正社員は固定化する恐れが強くなる。つまり、階級を変わることができないということだ。それに加えて、仮に彼らの多くが身分や収入の不安定さから、結婚し家庭生活を築けないとなれば、露骨な話だが「自分の子供に逆転を託す」といった希望も持てなくなる。戦後の日本では階級間移動が活発だったことを考えれば、「階級固定化」「一代プア」がもたらす閉塞感・絶望感・虚無感は想像を絶する。
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