2014年10月7日火曜日

デリバティブ取引の種類と特徴

デリバティブ取引の対象による分類、デリバティブ取引は、気象状況により生産量に大きな変動が発生する農産物の価格ヘッジから始まりましたが、その後、畜産物や貴金属、原油等のエネルギー物等にも裾野を広げました。そして、こうした商品を原資産とするデリバティブを一括して「コモディティ・デリバティブ」(商品デリバティブ)と呼んでいます。さて、価格変動が発生する商品は、なにも農産物をはじめとする商品群に限られた話ではありません。金融商品は、程度の差こそあれ、それこそ時々刻々と価格変動を繰り返しています。

そして、農産物一色の世界であったデリバティブーマーケットに大きな風穴を開けた金融商品が他ならぬ通貨先物です。1944年に構築されたブレトンウッズ体制は固定相場制を軸とするものでしたが、1971年のニクソンショックを契機として、各国は1973年に変動相場制(フロート制)に移行しました。ここで「価格変動あるところにヘッジニーズあり」との格言どおり、変動相場制となった外国為替相場を原資産とする通貨先物が誕生しました。そして、この通貨先物を皮切りとして、その後、財務省証券(国債)先物、金利先物、それに究極の先物ともいうべき株価指数先物が登場しました。こうしたさまざまな金融商品を原資産とするデリバティブを一括して「金融デリバティブ」と呼んでいます。この金融デリバティブを中心に話を進めていくこととします。

デリバティブのフロンティアは、このような伝統的な金融資産を原資産とする金融デリバティブにとどまりません。金融商品に付随する信用リスクを取り出して取引するクレジットデリバティブや、気象条件を原資産とする天候デリバティブ、さらには地球温暖化の原因となっている二酸化炭素を対象とする環境デリバティブ等、さまざまなデリバティブが登場しています。デリバティブ取引のパターンによる分類。それでは、ここでデリバティブ取引にはどのようなパターンがあるかを概観しておきましょう。デリバティブ取引は、先物取引、オプション取引、スワップ取引、それにこれら3種類の取引を適宜組み合わせた取引に大別することができます。

このうち、「先物取引」は、取引当事者間で将来売買する原資産の価格を現時点であらかじめ決めておく取引です。したがって、先物の買い手も売り手も、先物取引の期日が到来した時点の現物の時価がどうなっても、あらかじめ決めておいた価格でもって売買する義務を負うことになります。にれに対して、「オプション取引」は将来、原資産をあらかじめ決めておいた価格で買ったり売ったりすることができる権利の売買です。すなわち、オプションは選択権であり、オプションの買い手はあらかじめ決めておいた価格が自分の利益になる水準であれば権利を行使して、そうでなければ権利を放棄すればよいこととなります。これに対してオプションの売り手は、買い手が権利行使した時にはこれに応じる義務があります。

一方、「スワップ取引」は、将来の複数の日に資産を交換する取引です。すなわち、スワップ取引は、取引の当事者間で経済価値が等しいとみたキャッシュフローを、将来の一定期間にわたり交換する取引で、交換対象はコモディティから金利や通貨、株価指数といった金融商品等、多岐にわたっています。また、以上の3つのパターンのデリバティブを適宜組み合わせた商品も活発に取引されています。その典型例がスワップとオプションを組み合わせたスワップションです。デリバティブ取引には、取引所取引とOTC(店頭)取引があります。このうち取引所取引は、公認の取引所で取引されるものです。こうしたデリバテ子ブ取引所には、シカゴ・カンタイル取引所(CME)のようにデリバティブを専門に取引しているケースと、東京証券取引所や大阪証券取引所のように現物とデリバティブとを同じ取引所で取引しているケースがあります。