2015年4月7日火曜日

専門家による膨大な研究成果

歯科学の専門家による膨大な研究成果があるが、歯周病に悩まされてきた自分の体験も交えて、細菌の生態という面から特に歯周病について考えてみたい。一般的に、常在微生物が病原微生物よりも、自分の環境である宿主の組織を破壊することが少ないであろうことは想像できる。常在微生物が宿主に大きな影響を与えれば、同一の宿主における安定した存在が許されなくなるからである。しかし常在微生物といえども、基本的にはその存在が宿主に悪影響を及ぼす傾向があるということは、日和見感染症を考えてみればよく理解できる。さらに常在微生物が、宿主という環境の条件に、質量ともに微小ながらも自らの目的に適合するように変更を加えていることも想像できる。

この微小な変更が、ある時に症状として顕在化したものとして、日和見感染症を考えることもできよう。ともあれ、虫歯や歯周病を起こす原因菌とされている常在細菌が、歯を含めた口腔という生存環境を完全に破壊し、消滅させることを究極の目的にするはずはないだろう。したがって虫歯の場合には、歯の表面に定着することが常在菌としての存続に必須の条件となるならば、この条件を満たすために、歯に足掛かりとして微小な侵食を行なうことも納得できる。