2014年11月7日金曜日

裁判費用はコストが度外視か?

普通の人はそれを聞いて「ひどいではないか」と言うのですが、これは一面的な見方です。弁護士に言わせれば、多人数で相当な労力をかけていますから、それでももらい足りないくらいでしょう。弁護士仲間かやりたくもない仕事でも、使命感、義務感だけからやむなく引き受けているという刑事弁護人の苦労たるや、半端ではありません。

そんな苦労をほとんど知らない世間からすると、「被害者の側は、弁護士費用はおろか、賠償金さえまともにもらっていないから、不公平だ」と言うのでしょう。しかし、コストのことだけを言うのであれば、被害者の側は、弁護士を使わない代わりに、検察・警察の人たちを動かしているのです。

その警察・検察を動かすために使っているコストは、弁護士の刑事弁護のために支払われた報酬どころではありません。どの刑事事件にしても、検察・警察にかける人件費などのコストは非常に大きいものです。それに比べたら、刑事弁護にかけられているコストなどは、全く微々たるものだと言わざるをえないでしょう。

しかし、検察・警察の活動を見る際には、コストが度外視されます。本当は正義を実現するにはとんでもなく費用がかかるにもかかわらず、それで何となく錯覚してしまいます。では、「被害者はかわいそうではないか、どうして被害者に賠償をしないのか」という問題はどうなるのか、と疑問を持たれるかもしれません。