2012年12月25日火曜日

私たちはテクノロジーを、どこまで受け入れるか

このように産婦にとって一番必要な基本的産科研究がなおざりにされ、周産期死亡率(妊娠満二八週以後の死産十早期新生児死亡/一年問の出生数)が一九八八年でも六・五というほぼ世界最高の医療技術水準をもちながら、妊産婦死亡率では九・六(一九八八年)と、反対に先進諸国の中で最悪の水準という現実があることを、しっかり知るべきである。

最近の医療技術の発展はめざましく、とくに先端技術を使った医療技術は、医師たちの関心も高く、日進月歩のいきおいである。また、医療を受ける側からの期待も高い。私か日々接する若い女子短大生たちの九割近くまでが、「もし将来、結婚してもなかなか了どもが生まれなければ、産婦人科へ行っていろいろと調べてもらい、治療をして、ぜひとも子どもを産みたい」と話している。

私自身一人目の子どもを産んでから、二人目を受胎するまでに二年以上かかり真剣に子どもが欲しいと祈るような気持ちで排卵期をすごした経験があるから、彼女たちの気持ちはよくわかる気がする。とくに妊娠を望七人が一人の子どもも持てないことは、一人子どもを産んだ私か二人目の子どもを願うことなどとは比較にならないほど深刻なものがあるだろう。

しかしそれでも、もし不妊を悩む若い人から、不妊治療の受け入れについて相談されたら、やっぱり「慎重にした方がいい」と言わざるをえない。わが娘なら、子作りより彼女自身の身体、人生の方が大切で、「結婚は特定の人間を好きになり、二人で一緒に人生を生きて行くためにした行動であって、子どもを産むためにしたのではない」と訪い聞かせるかもしれない。そのくらい前に述べたように、女性の身体への直接的な医療技術やホルモン剤の濃厚操作、その他薬物による産科医師たちの不妊各管理は進行しているし、卵子や精八段階で行なわれる医療技術の介入も、私は不安である。

さらに、不妊治療をひたすら黙って受けざるを得ないカップルの精神的苦痛は計り知れない。それが、二人の生活の一番奥に大切に秘めておきたい性行為という部分であるだけに、不奸要因のにない乍と思われる一方のt占痛は、どれだけのものであろう。さらに経済的な負担はもちろん、時間的な拘束や不妊治療を受けた身体への将来的な不安もぬぐいきれない。

二〇年以上前の、私か結婚したてのころの不妊治療は、数の少ない精子や運動性の弱い精子を持つ夫のために、若い元気なIQの高い大学生から提供された精液を妻の子宮内深く注入し、非夫婦間で人工授精し、子どもを得ることが限度であった。この人工授精の欠点は、それによって生まれた子が、父親の遺伝病を知らずに背負う可能性もあり、結婚適齢期になった時、生物学Lの父親がわからないために、近親婚をする可能性があること、また夫婦が離婚する時、いや離婚しなくても、人が「自分の子じゃないから」と子どもへの愛情を放棄する危険性などがある。

しかし、それらが社会問題としてきちんと議論されることがないまま、いつのまにか社会のコンセンサスをえ、日本では一万人もの子どもが現在までに誕生したと言われている(『からだ・私たち自身』)。もちろん、女性の卵管を通りやすくして受胎をうながす治療や、夫婦問の人工授精も行なわれていた。前節で述べた亡くなった友人が受けていたのは、この方法であった。


2012年9月3日月曜日

絶望への道

悲哀から絶望への道はそう長いことはない。というか、あるいは悲哀のなかには絶望のすわるべき席が目だたぬところにはじめからもうけられているのだといってもさしつかえない。もっとつっこんで表現すれば、絶望の席は私どもの心の奥の座にいつでもあけてあって、どこからでも絶望がのりこんでぎさえすればいいようになっているのだという方がもっとふさわしいかもしれない。

というのは、絶望の発生は悲哀が極限にまでいきついたときだけとかぎらず、道はほかにもあるからである。だ、かまず悲哀からの道を考えていくことにしよう。自分のまわりの世界と自分とのつながりを断とうとするのに二つの方法があるということを、前に感情の地層のところでのべた。自分の方をすててしまうか、それとも自分をつつむ世界の方を一切否定してしまうか。

あとの方をとれば、自己は絶対に孤独な存在と化するわけだが、絶望者の多くはこれではなくて、世の中に向って足がかりをつける力を失ったために、世界に対する自分の方をすてようとする人たちである。ふかい悲しみにしずんだ人は、生きるのだ生きるのだとどんなに自分にいいきかせても、彼0底をしめる生活の原動力がつきてしまった以上どうすることもできない。

「自分は肉体上にも道徳上にもひどくくるしんでいる。あせりと不眠、それから恐怖、これが自分を圧倒し、たえずとらえてはなさない。自分には脳味噌も思想もなく、これ以外には書くことができない。ああ神よ、生きるとはなんという不幸でしき墓にいたるまでのなかい煩悶である。この名状しがたいおそろしい不幸はこれから何年つづくかわからない。ただ、こんな人生か五十年か百年かでおわると思えぱ、それだけがたのしいことだ」。(ジェームズより)

この人は、苦悶と絶望の交代威嚇にもかかわらず、自然の生命がつきるまでは生きていなければならぬと嘆息しているか、絶望した人は自分でいのちをすてることによって絶望をおわらせる方がむしろ自然である。この点について、自殺をはかったある女性か手にとるような描写をしている。

「しばらくまえからたんだかだるくて、おうくうで、なにをするのも大儀で、ごろごろしていました。いつもは人一倍明るい方なのですけど、とぎどきこうなることがあるのです。人生のうらというのかしら、人生のかげにこんなものかなしい気持、かかくれていたのかと思われるような感じでした。そして、ごろごろしていてなにも役にたたない自分かとても小さなくだらないものに思われて、生きているかいかおりませんでした。夜ねむっている間だけが心のやすまるときでした。ねむっていてわれを忘れて、なにも知らない間だけが楽でした。目がさめるとまたさびしい気持がたちこめてきて、自分がいさえしなければ、みんなの不幸か幾分かでもかるくなりはしないかと、そんなことばかりこびりついていました。わきでねむっている子供たちを眺めると、なんともいわれないほどふぴんでした。こんな母親をもって、今にも死んでいこうとしている母親をもって、けれども私かいなくなったら子供たちはどうなるでしょう。考えると、不幸ばかりがひしめいているようで胸がつまりました」。

このひとは二人の于の心臓を突いて自分ものどと手首を切ったが、不運にも自分だけすくわれてしまった。この話をしたときには、もう沈脛の気分は消えて、明るい生の面がもどってきていたのであったが、それでも彼女の明るさの底には一度知ったかなしみの人生の影がしみこんでいて、以前の底のないはれやかさにはもうかえらなかった。

2012年8月1日水曜日

変革を志向する民主党

国民健康保険をめぐる一件のように、民主党は国家の手による社会政策を推し進め、社会全体の福祉をはかろうとする傾向をもっている。反対に共和党は、アメリカを自由で開放的な社会として保持し、すべての人に活躍の機会を保証することこそが、自分たちの至上命令だと信じている。

これをもって民主党は進歩的であり、共和党は自由主義的だなどということは一概にはいえないが、第一次世界大戦時代の大統領ウッドロー・ウィルソン(民主党)は、民主党と共和党の違いを次のように説明したことがあった。

民主党と共和党の主な相違点というのは、保守反動派の人間が共和党のなかでぱ大多数を占めるのにたいして、民主党のなかでは少数派だということにある。これはどの政党にも程度の差こそあれ「保守反動派」がいるということなのであろうが、たしかにウィルソンの指摘するように、より前向きに政治や社会の現状を変革していこうという声は、共和党よりも民主党のなかに大きい。

たとえば、二〇世紀に入ってからの民主党出身の大統領を順番に並べてみただけでも、その変革寄りの傾向が浮かびあがってく ウッドロー・ウィルソン、フランクリン・ルーズペルト、ハリー・トルーマン、ジョン・ F・ケネディ、リンドン・ジョンソン、ジミー・カーター、ウィリアムークリントン。

太平洋のこちら側でアメリカを眺めている日本の私たちは、どうしてもアメリカの大統領の外交政策だけに目が行きがちであり、アメリカの国内政策のことはついつい忘れてしまう。しかしアメリカの大統領にとっては、外交問題はあくまでも二次的な問題に過ぎない。

彼らは、トロトロとした国内の政治上のかけひきや闘争のなかから生まれてきた政治家なのであり、国内の政策を無視してはその存在があぶなくなる。大統領が政治生命をかけて全力投球するのは、やはり内政問題、つまり国内向けの政策なのである。

ここにあげた民主党の大統領たちの国内政策を眺めわたしてみても、いかにも民主党らしい政策が目につく。たとえばウッドロー・ウィルソンの政策の中心は、アメリカの巨大な企業の活動を抑え込み、さまざまな規制を強化することによって、一般のアメリカ人の権利を保護するところにあった。そこで、鉄道事業の規制強化などさまざまな法律がつくられ、企業を監視するための対策が講じられた。

2012年6月8日金曜日

大豆油市場を襲う需要減の渦

食用油の主力品種、大豆油の価格が急落した。メーカーが在庫一掃のため大幅に値下げした。そこに見えたのは、減産しても需要減少の渦にどんどん飲み込まれ、次々と値下げを迫られるメーカーの姿だった。

レストランや総菜店といった中・小口需要家は斗缶品(1缶は16.5キログラム)を買う。3月末は月初から1割下落し、元卸価格で1缶あたり3300円が中心。昨年11月に約3年ぶりに下落に転じ、その後下げ足を強めた。マーガリンメーカーなど大口需要家向けのローリー品も1―3月分が昨年10―12月比で約3割安い1キログラム160円が中心となった。
「外食店は売り上げ不振の中でコスト削減を強く意識し、油をぎりぎりまで使っている」。流通業者が説明する。あるメーカーは顧客から「揚げ物に最大で何回まで使えるのか」などとの問い合わせが増えたという。

需要は急減し、メーカーは在庫をためこんだ。農林水産省によるとメーカー全体の在庫量は昨年12月、1月、2月とも前年同月比5割増の多さだった。
メーカー全体で1月の搾油量を前年同月比1割強落としたのに、2月の在庫が高い水準だったことは需要不足の深刻さをはっきり示した。戦後最悪の景気後退とわかっていても、この数字には誰もが目をむいた。

問題はこの価格下落の構図が続くかどうかだ。4月、5月は、行楽シーズンを迎え食用油の需要が1年でもっとも高まる。この時期の販売量や価格がメーカーの1年の業績を占うとも言える。
値下がりは需要家や消費者に恩恵をもたらす面がある。一方、メーカーにとっては、仮に春需が消えて需給が緩む流れが続くようだと、大豆油価格が一段と値下がりし、需要減と価格下落のダブルパンチとなる可能性が高い。

2012年6月4日月曜日

「変な名前だから、就活で落とされる」という悲劇の真否

2012年3月卒業の学生をあまり見なくなりました。「物凄く変な名前であるがゆえに、就活のエントリーシートがなかなか通過せず、就活も終盤期でしょうか。リクルートスーツ姿の学生の就活に苦戦している学生がいる」というネットニュースを見ました。

百獣王(りおん)、小宇宙(こすも)、空流光(くるみ)などの名前の学生がいるそうです。

可能性は二つ。

(1)本当に変な名前であるがゆえに苦戦している。
(2)名前は決定的ではなく、他の要素で苦戦している。

どちらかはわかりません。(2)の可能性もあるかもしれないと思いました。欧米の学者の研究によると、子供の成功と最も相関しているファクターは、生みの親ががどんな人物かであり、次が育ての親が与える環境のようです。

端的に言うと、前科5犯・自慢は人を殺したことがあることという暴力団員の父親と、元レディースで現ボッタクリバーのホステス役の母親から生まれ育てられた子供が、物理学者になる可能性は、限りなくゼロに近いということでしょう。

子供の成功は親に依存するそうですが、子供に物凄く変な名前をつけてしまう親は、やはりそっち系の性質が遺伝され、なかなか会社員に適合する人が多いのではないかと思います。その結果、子供にもそっち系の人が、相対的には少なくなりがちな可能性があるかもしれません。

ただ、もちろん全員がそうではなく、例外もあるでしょう。また、これは妄想であり、事実と異なるかもしれません。優れた資質を持つ親が、子供に物凄く変な名前をつけるケースはあまりないと思います。例えば、優れた男性代表として、楽天CEOの三木谷浩史氏が挙げられます。

一橋大学卒、ハーバード大学経営大学院修了、日本興業銀行を経て楽天を創設。ミスター・パーフェクトですね。そんな三木谷玲夢絵流などの名前をつけるでしょうか?到底そうは思えません。

優れた女性代表としては、DeNA前CEOの南場智子大聖人が挙げられます。津田塾大学卒、ハーバード大学経営大学院修了、マッキンゼーを経てDeNAを創設。ミス・セレブリティですね。そんな南場氏が自分の子供に、南場百獣王とか、南場玲夢絵流などの名前をつけるでしょうか?到底そうは思えません。

なお、遺伝子でほとんどは決まってしまうから、子育ても大きな影響を与えるようです。養子に出された子供、その子を養子にもらった親の詳細なデータ(イギリスとアメリカ)をもとに、「経済的成果における生まれと育ち」という論文が発表されています。

養子をもらった方の親は、子供の生みの親よりも頭がよく、教育水準も高く、所得も高い傾向が強かったそうです。養子に出された子は、はるかによい人生となる傾向があるそうです。しかし、養子に出された子供は、知能指数だけから予測される運命からは、「養子をもらった親と同じような親」の子供よりは、学校では比較的成績がよくないそうです。

養子に出された子供は、「生みの親が同じような親で、且つ養子に出されていない子供」と比べると、収入がいい仕事につき、20才を超えてから、しっかりとした健全な結婚をする傾向が強いそうです。親の育て方、親が与える環境、思春期の周囲の環境などの影響も大きく、やはり子育てはとても大事だと言えるでしょう。

2012年6月3日日曜日

「バナナダイエット」ブームいつまで 卸値は高止まり

昨年9月中旬に放映されたテレビ番組のダイエット特集をきっかけに消費が伸び、爆発的なブームとなったバナナ。ブームは一度沈静化したが、実は現在も消費量は多く卸値も高止まりしている。
昨年10月、バナナは多くの小売店から夕方に姿を消した。焦って数量の確保に走った一部小売店の店頭には、十分に熟していない青いバナナまで並んだ。輸入商社の「2週間くらいでブームは終わるのでは」という予想は外れ、11月上旬までの1カ月以上にわたり品不足は続いた。東京都中央卸売市場・大田市場の仲卸価格は10月、前年同月比5割以上高い1カートン(13キロ)2850円まで上昇した。

12月に入ると消費は落ち着いた。景況感が悪化した韓国向けなどのバナナが日本に振り向けられたため、供給量は増加。需給は大幅に緩み、12月上旬の仲卸価格は1カートン1700円まで下落した。

「在庫が積み上がり、このままだとバナナが傷んでしまう」(輸入商社)という危機を救ったのは、12月下旬に放送されたバナナダイエット企画の第2弾だった。放送翌日から再びバナナが売れ始める。年末年始でフィリピンからの輸入がストップする時期とも重なったこともあり、1月中旬に仲卸価格は再び1カートン2350円まで上昇した。

12月下旬の放送から約2カ月がたった2月中旬現在の仲卸価格は1カートン2150円で前年より26%高い。「2月上旬の販売量は前年より8割多い」(首都圏の食品スーパー)という声もあり、引き続きバナナの売れ行きは好調だ。仲卸会社も「長年仕事をしているが、冬場にこれだけバナナが売れたことはない」と驚く。

輸入商社の担当者は「今バナナを食べている人は定着したファン」と分析する。また、「高地で栽培し糖度が高いバナナの売り上げが特に伸びている」(輸入商社)のも前回との違いだ。通常品が1房150円程度なのに対して、高地栽培品は1房300円以上する高級品。スーパーの仕入れ担当者は「いくら健康に良くても、おいしいバナナでないと長い期間食べ続けるのが難しいのでは」と話す。
店頭からバナナがなくなるほどの勢いはないが、「全体の消費が底上げされている」(仲卸会社)との認識が関係者には広がっている。気温が上がる春はバナナの本来の需要期で引き合いは自然と強まりそう。しばらくは今の高値水準が続きそうだ。

2012年5月23日水曜日

政府が認めた「10年、20年は原発周辺には戻れない」

辞める菅がドサクサ謝罪のデタラメ対応

これはもう、明らかな犯罪ではないか。政府が今頃になって、原発周辺50地点の推計積算放射線量だ。判断の根拠になったのは19日、文科省が発表した原発周辺の住民に「戻れない」事実を伝える方針を決めたことだ。そこにとどまった場合、1年間でどれだけの放射線を浴びるか。初めて集計、推計値を出したもので、最高は原発から3キロ離れた浪江町でも22キロ離れた福島県大熊町小入野の508ミリシーベルト、229ミリシーベルトだった。さすがに立ち入り禁止の解除は無理と判断し、菅首相が27日、福島入りし、陳謝することになったのだが、あまりにふざけた話だ。

周辺地域がこういう事態になっていることは多くの専門家が指摘していたし、菅自身、4月に松本健一内閣官房参与と「20年は住めない」と話していたのだ。菅は自分の発言ではないとゴマカしたが、当の松本が週刊文春(8月25日号)でこう語っている。


4月13日に京大原子炉実験所の今中哲二助教が飯舘村の土壌から1平方メートルあたり2200キロベクレルのセシウム137を検出し、人が住むのに適したレベルではないと発表していました。実は文部科学省も同様のデータを持っていたのです。私は菅首相に「ここの人々は避難させないといけない」と進言しました。「10年20年住めない」という言葉は、そのときに交わされました。少なくともそれは2人で共有した事実でした


それなのに、今まで事実を隠し、自分が辞めるドサクサまぎれでデータを出して、住民の怒りの矛先をかわす算段なのである。

「ひどい話ですが、こういう振り付けをしている官僚がいるのだと思います。いきなりデータを出すとまずいから、様子をみる。ガス抜きが終わったところでポロッと出す。責任はすべて辞める首相におっかぶせて、自分たちは生き残る。国民の健康や財産のことなど眼中になくて、とにかく、都合の悪いことは隠す。それがこれまでの原子力行政なのですよ」(ジャーナリスト・岩上安身氏)

こうした犯罪的な官僚は菅もろとも、しょっぴくべきだし、大体、他にも「官邸の犯罪」は次々に明らかになっている。

東大の児玉龍彦教授は線量が低い地域から高い地域に子供を移動させている実態を指摘、首相にメールを出したが、無視された。米国務省のケビン・メア元日本部長は著書「決断できない日本」(文春新書)で震災後、米国は放射能対応で協力できる品目を提示したが、日本政府の反応が鈍かったことをバクロした。

こうした結果が“汚染まみれ列島"なのである。いまごろ、菅が謝って済むと思ったら大間違いだ。

石化業界、減産緩和へ 中国向け輸出価格は上昇カーブ

昨秋以降の世界的な景気後退で大幅な減産を強いられてきた石油化学大手が、4月以降の減産緩和を検討し始めた。国内で在庫調整が進んだことが主因だが、中国の需要が上向いていることも追い風となりそうだ。

石化大手は現在、基礎原料エチレンの生産を能力比70%程度に落としている。食品包装材向けのポリエチレン、自動車バンパーなどに使うポリプロピレン、食品トレーが主用途のポリスチレン、水道管や壁紙といった建材の材料になる塩化ビニール樹脂など、主要樹脂の生産・出荷量は1月、2月とも前年同月比3―4割のマイナスだ。

自動車、住宅、家電など石化製品の主な用途分野の需要が軒並み落ちているためだが、減産の効果もあり国内在庫は消化が進んでいるようだ。樹脂大手は「新年度が始まる4月になれば注文も増えるのでは」と見る。川下の中間製品や最終製品のメーカー、流通業者も年度末の3月には在庫を極力減らすが、年度が変われば、多少は手持ち在庫を上積みするとの期待がある。トヨタ自動車が5月にも減産を緩和する方針を固めるなど、「最悪の時期は過ぎつつある」(化学大手)との認識が広がっている。

内需回復への期待とともにカギになるのが中国の需要動向だ。中国向け輸出価格はこのところ上昇カーブを描いている。3月下旬の東アジアの取引価格(中心値)はエチレンが1トン630ドルと直近安値の昨年11月比6割上昇、ポリプロピレンは約35%上がっている。景気対策などにより国内需要が上向いているためだ。

「減産を緩和するかどうかは中国の4月の荷動きと価格次第」。ある樹脂メーカー幹部はこう打ち明ける。中国向け輸出量が回復し、価格も採算がとれる水準に達すれば、生産を増やす判断を下すという。日本の素材生産や価格は過去数年、中国の成長に引っ張られてきた。回復に向かう局面でも中国に頼らざるを得ないのが現状だ。

2012年5月14日月曜日

鶏卵、景気後退で行楽需要も期待しづらく

春の行楽シーズンを控えて鶏卵生産者はやきもきしている。毎年、春は行楽向けの弁当など加工用の引き合いが強くなり、相場も強含みの展開になることが多い。しかし今年は景気後退を受けて鶏卵卸値が弱含む可能性が出てきた。

卸値はすでに前年より安値になっている。指標となるJA全農たまご(東京・新宿)のMサイズ加重平均価格は3月中旬、東京地区で1キロ180円程度と前年より8%ほど安い。生産コストは1キログラムあたり200円以上と言われており、鶏卵生産者にとっては苦しい水準だ。
消費者の節約志向を受けて弁当など加工食品や外食向けの需要が盛り上がりを欠いているのが低卸値の原因だ。食の家庭回帰を受けて小売店での販売は堅調なようだが、業務用の落ち込みをカバーできるほどではない。

需要に見合った供給で卸値を上向かせたいところだが、生産者の足並みはそろわない。半年先の供給量の先行指標と言われる餌付羽数は1月に919万羽と昨年より9%多い。消費者の節約志向はしばらく続く見込みで、需要が回復しないまま供給が多くなった場合は一段安になりそうだ。
消費者の健康志向を受けて需要を伸ばしてきたブランド卵もここにきて需要が伸び悩んでいる。ブランド卵は一般の卵より栄養が豊富だが、1パック300円以上と価格が高い。節約志向の消費者が手に取る機会が減っているようだ。

「価格の優等生」と言われる鶏卵は消費者の中では安値のイメージが定着している。「特売で230円くらいにしてようやく手にとってもらえる」と鶏卵商社は嘆く。飼料高を受けて昨年夏以降に発売以来初めてした値上げも、「まぼろしに終わってしまった」という。

2012年5月9日水曜日

「埼玉YOSAKOIフェスティバル2011」がさいたまスーパーアリーナで開かれる。

川越市の自宅を開放し地域の人が集まるコミュニティーセンター「自立の家つどい」を開設して約2 5年。ボランティア活動や、障害者や高齢者らが制作した作品を展示する場として活用され、ミニコンサートなども開かれている。「人を招くのは大変だけど、人が好きだから、ずっと続けたい」とほほ笑む。開設を思い立ったのは毎日新聞埼玉西支局の「奥さま記者」として約30年前、福祉をテーマに取材した。「今後も孤独な高齢者が増え続けていく。地域に気軽に集まり、生きがい作りのできる場を作らなければならない」と開設を決意。夫七郎さん(7 5)と話し合いの末、自宅を増改築した。「ただ、お茶を飲み慰め合うだけの場でなく何らかの作業を行い、社会のために一役担える場に」と、以前から設立していたボランティア団体「野菊の会」の活動の場としても活用。和紙で作ったつまようじ入れなどを製作、売上金はユニセフに寄付し続けてきた。現在は、東日本大震災の被災者に送るため、メッセージ入り絵馬や紙のおもちゃ作りに励んでいる。

埼玉県こども動物自然公園で飼育され当時の国内最高齢だったアミメキリン「タカコ」の孫にあたるメスのキリンが来園した。アミメキリンは約3歳で成熟するが、このキリンは1歳4カ月と幼いため、園内の環境に慣れさせることから始めるという。同園は「おばあちゃんとの対面は残念ながらできなかったが、将来はタカコのように子だくさんのお母さんになるように」と期待している。

埼玉県教育委員会は熊谷地方気象台と連携し緊急地震速報を使った避難訓練を始めた。3月に東日本大震災が起きたことを受けて、熊谷市をモデル地区に指定し、既に市内の小中校が対象だが、県内全域での普及を目指す。訓練は気象台が緊急地震速報の仕組みについて児童らに事前学習を行った上で緊急地震速報の警告音を、校内放送で全教室へ一斉に流す。子どもたちは、窓や本棚から離れて机の下にもぐり、揺れが収まるまで待機。その後、担任の指示に従い校庭に避難する。熊谷市立妻沼小学校では「緊急地震速報を使った訓練を行った。県教育局保健体育課では今年2月に緊急地震速報の音に慣れることで、児童たちが家庭や外出先でも速やかに避難できるようにしたい」としている。

春日部市の国道16号の地下50メートルにある首都圏外郭放水路を散策する「夏休み親子見学会」が8月15日にある。国土交通省江戸川河川事務所が小中学生を対象に参加者を募集している。応募締め切りは7月1日。放水路は「地下の川」と呼ばれる。県東部の低い土地を洪水から守るために春日部市小渕から上金崎までの6・3キロをトンネル方式で建設した。大雨の際に周辺の川からの水を放水路に流入させて浸水対策にあてる。親子見学会では、こうした仕組みを分かりやすく解説する。

今年で3回目となる「埼玉YOSAKOIフェスティバル2011」が11月3日さいたまスーパーアリーナで開かれる。県は出場枠を昨年の36チームから44チームに拡大し、参加を呼び掛けている。30日締め切り。県内に活動拠点を置くよさこいチームが対象で1チームの人数は2 5人以上必要。出場枠はコンテスト参加は抽選で、「一般参加」が36チーム、「コンテスト参加」が8チーム。応募チーム数が枠を超えた場合、コンテストの対象とならない一般参加は書類とビデオによる審査で、それぞれ出場チームを決める。昨年度のコンテストでは朝霞市の「かつみ」が最優秀の知事賞、新座市の「群青」が県議会議長賞を獲得している。

2012年5月3日木曜日

全人代と期待先行の銅相場

非鉄金属のなかで銅地金の国際価格が先行して底入れの兆しが出てきている。世界最大の消費国である中国向けの需要回復期待が高まっていることが背景にある。銅地金は電線向けが主用途で、中国が景気刺激策として積極的に推し進めようとしているインフラ整備を柱とする公共投資の恩恵を最も受ける素材のひとつとみられているためだ。ただ、一気に底入れへ向かうほど市場心理は楽観ムード一色ではないようだ。

銅地金の国際指標となっているロンドン金属取引所(LME)3カ月先物価格は、全国人民代表大会(全人代)の開催期間前後の相場展開に市場の期待と不安の入り交じった現在の心理を如実にあらわす結果となった。開催前日の4日に大幅上昇し、公示価格ベースで1トン3745ドルと2008年11月以来の高値を回復した。昨年打ち出された4兆元(約58兆円)の景気対策の増額への期待感があったためだ。だが、実際は増額はなく、8%成長実現へ向けた政策内容が具体的に示されたにとどまった。この結果、LME価格は12日には3580ドルまで下落。期待先行で買い仕掛けていた投機的な短期売買中心のファンド勢が手じまい売りに転じたためだ。

市場では中国の景気刺激策がいずれ銅需要を押し上げるのは確実とみれているが、そのタイミングと継続力に確信が持てないのが現状だ。

すでに現物取引をみると相場は大底に達したとの見方から中国勢が買い仕込む動きも目立っている。銅地金のLME指定倉庫在庫量はアジア地区(韓国・シンガポール)で3月に入って25%程度減少した。製錬会社が輸出する際に地域ごとの需給を映してLME価格に上乗せするプレミアム(割増金)は上海向けスポット価格(CIF=運賃・保険料込み)が現在1トン90―100ドルと昨年末から72%上昇した。

中国は戦略物資の備蓄積み増しの一環として銅地金を同国内の製錬会社から約30万トン程度買い上げ、09年中に合計100トン規模で備蓄を積み増すとの観測も市場では出ている。民間の中国商社の間でも先行きの需要拡大に備えて調達する動きが広がっている。

一方、実際に中国で内需が拡大へ向かうのには時間がかかるとの見方も根強い。昨年秋の米国での信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に端を発した世界景気悪化で中国の輸出企業は軒並み経営悪化が広がり、失業増大にもつながった。全人代で温家宝首相が掲げた8%成長実現のためには輸出依存から内需依存への転換がカギになる。だが、「内需型への産業構造の転換には時間がかかり、それまでは高水準の失業率や個人消費の低迷が続く」(商社)との慎重な見方も出ている。

中国経済全体が公共事業の立ち上がりである程度は当面の支援要因になっても、民需が引き継ぐ形で内需をけん引していかなければ本格的な景気回復には結びつかず、「8%成長実現」もおぼつかない。銅地金にとっても持続的な中国需要拡大が見込めるかどうか、まだ見極めかねている。このため、しばらくは期待と失望の交錯するなかでの振れの大きい展開が続きそうだ。

2012年4月24日火曜日

濃厚で甘い地元大豆できな粉のクッキー。

神奈川県立相原高校(相模原市橋本)の生徒たちが考案した地元特産の津久井在来大豆を使った「きな粉のクッキー」を、食料品・飲料製造メーカー「宮坂醸造」(東京都中野区)が商品開発した。パッケージの考案を含めて生徒たちのアイデアがそっくり商品化に生かされて市販されるのは食品業界では異例という。

商品開発したのは農業クラブ食品化学班=班長・宮崎茜さん(16)ら6人=のメンバー。味が濃厚で甘みの強さが特徴の津久井在来大豆を使い、近くの同市立橋本小と連携した食育活動に取り組む。卒業生は豆腐作りで出るおからを利用して「ふりかけ風おからつくだ煮」を考案したことも。

宮崎さんらは部活顧問の田中茂樹教諭らの指導で、きな粉の利用の研究を重ねクッキーにたどり着いた。バターを60%加えて小麦粉ときな粉、豆乳を混ぜた無添加食品。「カムアップクッキー」の商品名や6人の写真入りパッケージは、情報処理科3年の村上紗希さん(18)ら2人が考案した。

清酒「真澄」や「神州一味噌」などのブランドで知られる宮坂醸造は、津久井在来大豆を一部のみそに使っているのがきっかけで高校生のクッキー作りを知った。黄な粉が子供の成長に欠かせないたんぱく質やカルシウムを多く含むことや、クッキーの風味の良さに着目。生徒のアイデアをそのまま採用した。

同社製造・販売のクッキーは、1円玉ほどの大きさで厚さ約1センチ。販売価格は1袋40グラム入り(18個)180円の予定。津久井在来大豆の生産量が少なく、同社は確保してある約100キロを使って製造するという。

生徒の試作品を有名メーカーが製造販売するのは同校でも初めて。来月2日、大豆の生産者や企業などが参加する同校での試食会でお披露目されるほか、9日午前9時から同校正門でのチャレンジショップで生徒たちが販売する。宮崎さんは「伝統食材を使った食育活動が商品化につながった」と喜んでいる。

2012年4月18日水曜日

母が袋に遺した赤ちゃんコアラ、2gの命尽く。

大阪市天王寺動物園で死んだ雌のコアラ・スピカの腹部の袋から見つかった生後1か月足らずの赤ちゃん(2グラム、体長4センチ)が、死んでいたことがわかった。園によると、8日朝、死んだスピカの袋から赤ちゃんを取り出し、保育器での人工飼育を試みていた。コアラ用のミルクを与えていたが、次第に吸う力が弱くなり、9日未明、獣医師が死んだのを確認したという。衰弱死とみられる。同園は「なんとか命をつなげようと、園を挙げて取り組もうとしていただけに非常に残念」としている。

2012年4月17日火曜日

通信講座「登録抹消費」1億詐取、9人逮捕。

通信教育講座の登録取り消し名目で多額の金をだまし取ったとして、宮城県警は29日、仙台市太白区富沢、無職伊藤雅基容疑者(38)ら男女9人を詐欺の疑いで逮捕したと発表した。

県警は、被害者が千葉県、埼玉県、大阪府、福岡県、鹿児島県など全国に約250人おり、被害額は約1億3500万円に上るとみて調べている。

発表によると、伊藤容疑者らは2007年7月~09年1月、架空の業界団体を名乗り、通信教育講座を受講したことがある三重県内の女性(34)ら6人に「契約が継続されており、登録抹消には金がかかる」などと電話でうそをつき、1人あたり10万~50万円、計約190万円をだまし取った疑い。7人は容疑を認めているが、2人は一部否認している。

伊藤容疑者らは仙台市内の教材販売会社に勤務していた。県警は、市内の拠点から通信教育の受講経験者数万人分の名簿を押収。名簿がヤミで出回っているとみて、入手先を調べている。

2012年4月12日木曜日

北朝鮮核めぐり首相が核武装論に言及

麻生首相が6月28日に東京で行われた日韓首脳会談の際、「北朝鮮核問題が深刻化すれば、国内で核武装すべきだという声が強まる」と述べていたことがわかった。複数の日韓関係筋が明らかにした。北朝鮮の核問題で、カギを握る中国の取り組みを促す説得材料の一例として取り上げたという。

麻生首相と李明博(イ・ミョンバク)韓国大統領のほか、同席者を両国外相ら少人数に限った会合の席での発言。議題を北朝鮮問題に絞り、内容は公表しないことを双方が申し合わせていた。

両首脳は、中国が国連安全保障理事会の制裁決議の履行などに真剣に取り組まない場合、日韓両国が北朝鮮に対抗して防衛力を強化せざるをえなくなるというメッセージを中国側に伝える必要があるという考えをそれぞれ表明。麻生首相はその中で、日本で核武装論が高まる可能性に言及したという。

北朝鮮による5月の核実験後、キッシンジャー元米国務長官が日韓両国の核武装の可能性を指摘して、中国に北朝鮮問題に真剣に取り組むよう促した。麻生氏の発言はこうした意見を念頭に置いたものと見られる。政府関係者は「日本が核武装に向かうという言い方ではなかった」と説明する。韓国側からも強い異論は出なかった模様だ。

ただ、北朝鮮の核実験後、日韓両国内の核武装論を中国が警戒しているとされる。ゲーツ米国防長官も5月の日米韓防衛相会談で、日韓両国への「核の傘」の強化に言及。日韓で核武装論が浮上しないように手を打ってきた。国内の核武装論を利用するかのような発言は首相としては不適切との批判も出そうだ。

麻生首相は外相時代の06年10月、衆院外務委員会で核武装論をめぐり「隣の国が(核兵器を)持つとなった時に、一つの考え方としていろいろな議論をしておくのは大事だ」と発言し、4野党から罷免を求められたことがある。

2012年4月9日月曜日

低迷続く合板市場・大幅減産の効果薄く

合板価格の低迷が続いている。大手メーカーが打ち出した値上げ要請も不発に終わり、卸値は過去最低水準にある。戸建て住宅の着工件数の減少を背景に需要がふるわず、国内メーカーの大減産による供給削減も思うような効果を上げられていない。

国産針葉樹合板は昨年末に大幅に値下がりした後、2月初旬までは横ばいで推移していたが、2月中旬以降再びじりじりと下げ始めている。

「メーカーは本気で値上げする気があるのか」――。合板流通関係者はため息をつく。市況の立て直しを狙い、最大手メーカーは1月中旬ごろから値上げを表明しているが、市場への転嫁はいっこうに進んでいない。

メーカーも毎月のように値上げを打ち出す一方、売り上げ確保の安値出荷をいまだに止め切れていない。月末になると必ず「打ち出し価格を大幅に下回る安値品が市場に出回る」(商社)という。需要家はメーカーの一貫しない販売姿勢に冷ややかな目を向けている。

合板需要を支える木造住宅の着工戸数は、08年10月以降低迷が続く。1月は前年同月比で20.3%減の3万3000戸となり、07年8月以来17カ月ぶりの低水準となった。

派遣社員が大量に解雇され、正社員もリストラや賃下げが現実味を帯びている状況では、「人々が将来の見通しを描けず、なかなか住宅を買おうという意欲が起きないのが現状」(資材加工メーカー)という。

メーカーは過去最大規模の減産で供給削減をすすめているものの、現状は「2―3週間出荷停止しても供給不足にはならない」(大手問屋)との声もある。需要減下で値上げを押し通すには、設備休止なども視野に入れた、より大胆な生産調整が必要だとの声も上がっている。