2014年5月2日金曜日

自然

わが国の桜と紅葉は、日本ならではの美である。もちろん、日本ならではの美は、他にもいろいろあり、また日本ならでは、でなくても、美しいものはすべていい。そう思いながら私は、この日本中を覆う桜の美しさは、秋の紅葉と共に、日本人にとって、なんとうれしい自然の恵みであることか、と思う。だが桜の咲く期間は短くて、たちまち過ぎてしまう。

毎年、桜の開花情報を聞いて、名所と言われるところに行ってみようかな、と思いながら、ぐすぐずしているうちに、散ってしまう。けれども、名所と言われるような所には行きそびれても、桜を見ない年はない。都市によっては、違いもあるだろうが、東京は、街なかにも桜が少なくない。処々方々に咲いている。上野や千鳥が淵などへわざわざ出かけて行かなければ見られない、というものではない。私の仕事場のあるあたりはビルだらけで、まるで裸の土のない所だが、そんな所でも、すぐ近くにかなり大きな桜の木が一本あって、季節を伝え、眼を楽しませてくれる。

一本だけでも、大きいので見ごたえがある。港区保護樹木と書かれた札がかかっているから、切られることはなく、毎春花を咲かせることだろう。この一本桜は、今はもうほとんど花か散り、葉が出はじめているが、この一本桜の花見なら、行きそびれることはない。今年の桜は例年より開花の時期が長いのだそうだが、それでも、東京の桜はほぽ散ってしまった。これからは、福島や仙台が見ごろになるのであろう。東京は、桜が終わると街路樹の若葉の芽のふくらみが眼につくようになる。

都心で過ごす私は、一本桜で花見をしたり、街路樹の若葉の芽のふくらみ具合を観察したりしながら、細々と自然に付き合い、季節を感じて楽しんでいる。だが、やはりそんな程度では欲求不満になる。その不満が、ゴルフ場に行くと満たされる。今年は、一本桜の花見だけでなく、先日、ゴルフに出かけて、花見もたっぷりさせてもらった。ゴルフ場には桜のみごとなところが少なくない。