2012年6月3日日曜日

「バナナダイエット」ブームいつまで 卸値は高止まり

昨年9月中旬に放映されたテレビ番組のダイエット特集をきっかけに消費が伸び、爆発的なブームとなったバナナ。ブームは一度沈静化したが、実は現在も消費量は多く卸値も高止まりしている。
昨年10月、バナナは多くの小売店から夕方に姿を消した。焦って数量の確保に走った一部小売店の店頭には、十分に熟していない青いバナナまで並んだ。輸入商社の「2週間くらいでブームは終わるのでは」という予想は外れ、11月上旬までの1カ月以上にわたり品不足は続いた。東京都中央卸売市場・大田市場の仲卸価格は10月、前年同月比5割以上高い1カートン(13キロ)2850円まで上昇した。

12月に入ると消費は落ち着いた。景況感が悪化した韓国向けなどのバナナが日本に振り向けられたため、供給量は増加。需給は大幅に緩み、12月上旬の仲卸価格は1カートン1700円まで下落した。

「在庫が積み上がり、このままだとバナナが傷んでしまう」(輸入商社)という危機を救ったのは、12月下旬に放送されたバナナダイエット企画の第2弾だった。放送翌日から再びバナナが売れ始める。年末年始でフィリピンからの輸入がストップする時期とも重なったこともあり、1月中旬に仲卸価格は再び1カートン2350円まで上昇した。

12月下旬の放送から約2カ月がたった2月中旬現在の仲卸価格は1カートン2150円で前年より26%高い。「2月上旬の販売量は前年より8割多い」(首都圏の食品スーパー)という声もあり、引き続きバナナの売れ行きは好調だ。仲卸会社も「長年仕事をしているが、冬場にこれだけバナナが売れたことはない」と驚く。

輸入商社の担当者は「今バナナを食べている人は定着したファン」と分析する。また、「高地で栽培し糖度が高いバナナの売り上げが特に伸びている」(輸入商社)のも前回との違いだ。通常品が1房150円程度なのに対して、高地栽培品は1房300円以上する高級品。スーパーの仕入れ担当者は「いくら健康に良くても、おいしいバナナでないと長い期間食べ続けるのが難しいのでは」と話す。
店頭からバナナがなくなるほどの勢いはないが、「全体の消費が底上げされている」(仲卸会社)との認識が関係者には広がっている。気温が上がる春はバナナの本来の需要期で引き合いは自然と強まりそう。しばらくは今の高値水準が続きそうだ。