2012年5月23日水曜日

政府が認めた「10年、20年は原発周辺には戻れない」

辞める菅がドサクサ謝罪のデタラメ対応

これはもう、明らかな犯罪ではないか。政府が今頃になって、原発周辺50地点の推計積算放射線量だ。判断の根拠になったのは19日、文科省が発表した原発周辺の住民に「戻れない」事実を伝える方針を決めたことだ。そこにとどまった場合、1年間でどれだけの放射線を浴びるか。初めて集計、推計値を出したもので、最高は原発から3キロ離れた浪江町でも22キロ離れた福島県大熊町小入野の508ミリシーベルト、229ミリシーベルトだった。さすがに立ち入り禁止の解除は無理と判断し、菅首相が27日、福島入りし、陳謝することになったのだが、あまりにふざけた話だ。

周辺地域がこういう事態になっていることは多くの専門家が指摘していたし、菅自身、4月に松本健一内閣官房参与と「20年は住めない」と話していたのだ。菅は自分の発言ではないとゴマカしたが、当の松本が週刊文春(8月25日号)でこう語っている。


4月13日に京大原子炉実験所の今中哲二助教が飯舘村の土壌から1平方メートルあたり2200キロベクレルのセシウム137を検出し、人が住むのに適したレベルではないと発表していました。実は文部科学省も同様のデータを持っていたのです。私は菅首相に「ここの人々は避難させないといけない」と進言しました。「10年20年住めない」という言葉は、そのときに交わされました。少なくともそれは2人で共有した事実でした


それなのに、今まで事実を隠し、自分が辞めるドサクサまぎれでデータを出して、住民の怒りの矛先をかわす算段なのである。

「ひどい話ですが、こういう振り付けをしている官僚がいるのだと思います。いきなりデータを出すとまずいから、様子をみる。ガス抜きが終わったところでポロッと出す。責任はすべて辞める首相におっかぶせて、自分たちは生き残る。国民の健康や財産のことなど眼中になくて、とにかく、都合の悪いことは隠す。それがこれまでの原子力行政なのですよ」(ジャーナリスト・岩上安身氏)

こうした犯罪的な官僚は菅もろとも、しょっぴくべきだし、大体、他にも「官邸の犯罪」は次々に明らかになっている。

東大の児玉龍彦教授は線量が低い地域から高い地域に子供を移動させている実態を指摘、首相にメールを出したが、無視された。米国務省のケビン・メア元日本部長は著書「決断できない日本」(文春新書)で震災後、米国は放射能対応で協力できる品目を提示したが、日本政府の反応が鈍かったことをバクロした。

こうした結果が“汚染まみれ列島"なのである。いまごろ、菅が謝って済むと思ったら大間違いだ。