2012年5月14日月曜日

鶏卵、景気後退で行楽需要も期待しづらく

春の行楽シーズンを控えて鶏卵生産者はやきもきしている。毎年、春は行楽向けの弁当など加工用の引き合いが強くなり、相場も強含みの展開になることが多い。しかし今年は景気後退を受けて鶏卵卸値が弱含む可能性が出てきた。

卸値はすでに前年より安値になっている。指標となるJA全農たまご(東京・新宿)のMサイズ加重平均価格は3月中旬、東京地区で1キロ180円程度と前年より8%ほど安い。生産コストは1キログラムあたり200円以上と言われており、鶏卵生産者にとっては苦しい水準だ。
消費者の節約志向を受けて弁当など加工食品や外食向けの需要が盛り上がりを欠いているのが低卸値の原因だ。食の家庭回帰を受けて小売店での販売は堅調なようだが、業務用の落ち込みをカバーできるほどではない。

需要に見合った供給で卸値を上向かせたいところだが、生産者の足並みはそろわない。半年先の供給量の先行指標と言われる餌付羽数は1月に919万羽と昨年より9%多い。消費者の節約志向はしばらく続く見込みで、需要が回復しないまま供給が多くなった場合は一段安になりそうだ。
消費者の健康志向を受けて需要を伸ばしてきたブランド卵もここにきて需要が伸び悩んでいる。ブランド卵は一般の卵より栄養が豊富だが、1パック300円以上と価格が高い。節約志向の消費者が手に取る機会が減っているようだ。

「価格の優等生」と言われる鶏卵は消費者の中では安値のイメージが定着している。「特売で230円くらいにしてようやく手にとってもらえる」と鶏卵商社は嘆く。飼料高を受けて昨年夏以降に発売以来初めてした値上げも、「まぼろしに終わってしまった」という。